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体幹部編

腰痛治療を進めるうえでは、腰部の局所的な要因だけでなく、腹部の緊張状態や腹圧の低下が大きく関与していることを踏まえておく必要があります。そもそも「腹圧」という言葉自体には厳密な定義がないものの、バルサルバ法や体幹固定といった特定の動作で意識されることが多く、腹部内の適切な圧力が体幹の安定性を支える土台になります。立位の姿勢では、腹直筋、内・外腹斜筋、腹横筋などの腹筋群が常に適度に活動しており、これらが協調することで腰椎を含む体幹全体の支持性が保たれると考えられています。
 

加えて、近年注目されているのが筋膜連鎖(ファシアチェーン)の視点です。
腹部から胸郭、肩、頸部、さらには股関節に至るまで、筋膜を介して各部位は相互に影響を及ぼし合っています。とくに白線(腹直筋の付着部)から腹斜筋、腹横筋を経て、腰背筋膜、前鋸筋、腸腰筋などへと連続する筋膜ネットワークが形成されており、これらが連動することで姿勢保持や動作の安定が支えられているのです。そのため、腹部の緊張バランスが乱れると、腰背部だけでなく背中、肩、頸部、さらには股関節の動作にも影響が及ぶことがあります。

 

このように、腰痛治療では局所の痛みのみに注目するのではなく、体幹全体の安定性や筋膜連鎖のつながりを多角的に評価し、必要に応じてアプローチしていくことが大切になってきます。

最長筋と腸肋筋は極めて近接しており、正直なところ、その境目は明瞭ではありません。(“曖昧な境界”の部分では損傷が少なく、あまりトラブルが起こりにくいという認識を持っています。)

これは、両筋が同じような動きをするため、あえて境界で滑走性を確保する必要がないためです。
 

エコー画像下層に見えるのが腸です。腹部表面からわずか約4cm下に腸管が確認できます。
思った以上に浅く、すぐ腸に到達します。

 

今回の施術で狙うのは、腸管の周囲と筋肉・筋膜のつなぎ目に相当する部位で、これをLIFT(リフト)ポイントとして定義しています。

ミッション

ビジョン

腹部の治療ポイント

2.5センチほどの深さにあり、何も考えずに針を打つと腹直筋の外側には当たりますが、実は本当の狙い目は筋腹の真上だけではありません。

多くの人が中央寄りを狙いがちですが、腹直筋は思った以上に外側まで広がっていて、その外側ラインに効果的なポイントがあります。

中心部で響きを感じても効果が十分出ないことがあるので、響きだけに頼らず、正確に外側を狙う意識が大切です。
このズレは初心者だけでなく慣れている人もよく起こすので、腹直筋は外側も含めて広いと覚えておきましょう。

壇中、巨闕、鳩尾といった体幹正中部のラインは、
どこから狙っても構いませんが、
鳩尾あたりをつまむと多くの人が腹筋側に圧痛を感じます。
そこに浅く針を入れるのがポイントです。

 

お腹の筋肉はおへそに向かって曲線的に走行するため、
上からでも下からでも筋の流れに沿って刺入しやすい方向を選びます。

おへそを起点に 神経が交差し、リンパも集まるため、
体幹正中部への治療介入がとても重要です。

ミッション

ビジョン

人の体幹は立位では常に緊張しており、体幹を安定させています。
その中心には 白線(Linea alba:腹直筋鞘の中央の腱膜) があり、恥骨(四骨)から胸骨、剣状突起(肩上突起の正確な呼称)や鎖骨まで一本の線のように続いています。


この白線の両側には 腹直筋 があり、そのさらに外側には 外腹斜筋・内腹斜筋がつき、最外層には腹横筋があります。
大きな外腹斜筋が緊張すると、肋骨ユニット全体が下方へ引っ張られ、姿勢が前屈み(おじぎ姿勢)になりやすくなります。しかし日常生活では頭を水平に保つ必要があるため、首を反らせたり、頭を少し前に突き出すなどしてバランスを取ります。この代償動作が、いわゆる猫背の一因になります。

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