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​機能解剖学編

機能解剖学とは、身体の構造を静的な形としてではなく、動的なつながりと機能の観点から捉える学問である。理学療法における運動連鎖やアナトミートレインの知見を踏まえると、身体各部位は筋膜や筋・関節を通じて連動し、姿勢や運動パターンに影響を与え合っている。たとえば、白線を起点とする腹筋群から腰背筋膜、前鋸筋、腸腰筋へと連なる筋膜ネットワークは、胸郭・肩・頸部・股関節にまで広がり、全身の安定性と協調運動を支えている。このような機能的つながりを無視した局所治療は、根本的な問題解決につながらない。鍼灸や徒手療法においても、神経・血管走行を含めた全身の連動を踏まえた評価と介入が求められる。

​全身連動編

​手元(本編・おまけ)

​定点カメラ​

​下腿部編

​体幹部編

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背部ファシアに対する機能解剖的介入

ミッション

ビジョン

【頚椎モビライゼーション】
 

C7からC3へと段階的にアプローチしながら、頸椎の伸展と牽引感を自然に引き出すことを目的とします。
力で押し込むのではなく、頸椎のセグメントごとの“浮き上がり”を誘導するのがポイントです。

① 起点(C7〜C6)

まず C7 付近を 軽く持ち上げるようにモビライゼーションします。
下位頸椎は胸郭と連動しているため、この段階で頸椎全体に軽い伸び感が伝わるのが理想です。
C6 → C5 と進むにつれて、より上方へのテンションが自然に高まっていきます。

② 中間(C5〜C4)

C5〜C4 付近では、頸椎の伸展が強く誘導されやすくなります。
このとき、わずかに上方向への牽引を加えることで、
頸部全体がふわりと伸びる感覚を引き出します。
重要なのは、強い力を加えることではなく、「すっと持ち上げる」感覚です。

③ 上位頸椎(C4〜C3)+回旋

C4〜C3 まで到達したら、片手で頭部を軽くロックし、頸部をわずかに回旋させます。
これにより、上位頸椎の伸展と回旋がスムーズに誘導され、頸胸移行部から頭部までの連動性が高まるのを感じられます。

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​胸郭と骨盤の調整

ミッション

​腹壁強化・腹圧を入れる方法

腹横筋は意識的に単独で働かせることができない筋です。
外腹斜筋と内腹斜筋が同時収縮したときに連動して働くという解剖学的な性質を持っています。
そのため、腹横筋の活性化を狙う場合、腹斜筋群のクロス方向の収縮を誘発する必要があります。

👉 これは「手ぬぐりをバッテンに交差させるイメージ」で理解しやすく、
交差部位=腹直筋の筋鞘を介した力の伝達点 です。

  • 最終的に、腹横筋の“入り”を確認した状態で、軽い腹圧を維持しながら立位または座位で姿勢を整える。

  • 腹壁が使えるようになると、腰椎の支持性が増し、立位バランス・歩行・呼吸にも良い影響が波及します。

  • 過度に力ませるのではなく、「自然な入り方」を覚えさせるのがポイントです。

​頭頸部編

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まずは頭頸部にまつわる【筋と骨】を触知しよう
​実技パート練習の様子

頭頸部の評価と介入方針

頭頸部は以下の3つに分けて考えると効果的です。
① 頭頂部(頬骨より上)
② 顎周囲
③ 頸部

この中で、最も優先して介入すべきは顎周囲です。顎は頭部と頸部をつなぐ重要な連結部であり、両者の緊張バランスに深く関わります。

また、顎や顔面周囲(統計部)における神経と血管の理解も欠かせません。とくに、三叉神経や顔面神経、動脈の走行を把握することで、鍼の効果を高めることができます。

現代人は脊柱起立筋が過緊張し、頭が前に出やすくなっています。その結果、胸鎖乳突筋や万丈筋に負担がかかりやすくなります。脊柱起立筋と胸鎖乳突筋の引き合い(綱引き)のバランスを見ながら調整することが重要です。

姿勢評価では、首の緊張が肩甲骨の動きに影響するため、首と肩甲帯をセットで評価・治療することが効果的です。また、正しい頭の位置や顎の角度、動脈の拍動なども確認します。

噛みしめが強く顎に負担がかかっている方には、頬骨と顎関節の中間点に刺鍼するとよい反応が得られます。

頸部へのアプローチでは、どこに緊張が必要か、どこに柔軟性が求められるかを機能解剖学の視点から判断し、的確に介入していくことが大切です。

ビジョン

三叉神経は、顔面の感覚や咀嚼筋の運動に関わる重要な神経です。とくに、顎周囲へのアプローチにおいては、この神経の影響を意識することが、治療効果の向上につながります。

効果

  1. 顎関節症や噛みしめ、歯ぎしりの緩和
     三叉神経の下顎枝(V3)は咀嚼筋に分布しており、筋緊張の軽減により症状の改善が期待できます。

  2. 顔面痛や緊張性頭痛の緩和
     眼神経(V1)や上顎神経(V2)への介入

  3. 副交感神経系への間接的作用
     三叉神経核と脳幹の自律神経中枢は密接に関係しており、顔面・顎周囲の刺激が全身の緊張緩和や睡眠の質の改善にもつながることがあります。

リスク

  1. 神経の損傷や過敏反応
     過度な刺激や不適切な角度で刺鍼した場合、神経への直接的な刺激により、ビリッとした感覚やしびれ、まれに知覚異常が起こることがあります。

  2. 内出血や腫脹
     三叉神経と並走する血管(顔面動脈・上顎動脈など)への誤刺により、内出血や圧痛が生じる場合があります。

  3. 顔面神経との鑑別
     特に耳介周囲や顎関節近くでは、顔面神経の運動枝と交錯する部位があり、不用意な刺激は顔面運動に影響を与えるリスクがあります。

​三叉神経への介入

肩部編

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ミッション

まずは肩関節にまつわる【骨】を触知しよう
肩関節は、肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節などの構造的関節と、肩甲胸郭関節・肩包下滑液包・三角筋下滑液包などの機能的関節が複雑に連動する多関節系です。肩甲上腕関節は浅い関節窩に大きな上腕骨頭がはまり、関節唇や靭帯・腱板などが安定性を補います。さらに、肩甲骨は胸郭上を滑るように動き、肩の可動域を広げています。このように、肩の構造は可動性を高める一方で不安定性を抱えており、そのバランスを保つためには、関節構造全体の相互作用と滑液包の滑走性が重要です。

ビジョン

【モビライゼーションの重要性】
肩関節モビライゼーションは、関節包内の滑りやスピン運動を促進し、機能的可動域を回復させる重要な手技です。特に肩包下滑液包や三角筋下滑液包の滑走性が失われると、関節が正常な軌道で動かなくなり、炎症や摩耗、筋萎縮を引き起こします。モビライゼーションはこのような滑液包周囲の癒着を緩め、棘下筋や肩甲下筋など深層筋の拘縮を改善し、インピンジメントの予防にもつながります。構造を理解したうえでの機能的アプローチが、再発予防や根本治療に直結します。

【肩の動き】を分解しよう
肩関節は複雑な構造をしており、動きは単純な外転や屈曲ではなく、常にベクトルが複数交差します。
例えば「肩甲上腕リズム」。これは60度を境に肩甲骨の上方回旋や上腕骨の自動外旋を伴う運動ですが、これは肩甲胸郭関節の滑走、肩鎖関節の可動性、胸鎖関節による鎖骨の挙上など、複数の関節が連携してスムーズな動作を可能にしています。軟部組織への理解も重要です。
上腕骨の大結節が肩峰アーチにぶつからないように肩包下滑液包が緩衝材となっており、この動的連鎖が破綻すると、インピンジメントや腱板炎を引き起こします。動きを正しく理解することが、症状の原因を見極める上で不可欠です。

ビジョン

【連動性】を使ったモビライゼーション
モビライゼーションを単関節の滑り改善として捉えるのではなく、複数関節の連動性を活かしたアプローチにすることで、より自然な動作パターンの回復につながります。肩関節は肩甲上腕関節だけでなく、肩甲胸郭関節や胸鎖関節など多くの関節が協調して動くため、部分的な滑走性の改善だけでは不十分です。たとえば、肩甲骨の可動性を引き出しながら上腕骨の外旋を誘導することで、運動連鎖に基づく治療が可能となり、より脳に動作全体として再学習されやすくなります。これは認知運動療法的にも有効で、身体と脳の協調性を高め、より持続的な改善効果が期待できます。

​質問コーナ

【質問コーナー】
宮本講師が、受講生の質問になんでも答える質問コーナー!
​セミナー終了後は終電の時間ギリギリまで
受講生から矢継ぎ早の質問が飛び交います。
今回は上肢の神経の触知の話題から、ある症例の質問になりました。
動作分析、針による介入、そして運動療法と
​宮本先生の一連の思考が垣間見えます

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