下肢編
特に、縫工筋や膝蓋下脂肪体、アキレス腱下脂肪体は、局所的な痛みや機能障害を引き起こすだけでなく、下肢全体の安定性にも大きく関与しています。例えば、縫工筋は股関節や膝関節の動作に関与し、特に膝痛の原因となることがあります。膝蓋下脂肪体は膝関節のクッションとして重要な役割を果たし、その機能低下が膝痛の原因となることが多いです。
他の部位と同様、下肢の筋・脂肪体に対する治療を進めるうえで、
局所的な筋肉や脂肪体の機能だけでなく、それらが互いにどのように連携し、全体の動作にどのような影響を与えるかを考慮することが重要です。

縫工筋の解剖学的補足
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起始:上前腸骨棘(ASIS)
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停止:脛骨粗面内側(鵞足部)
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作用:股関節屈曲・外転・外旋、膝関節屈曲・内旋
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特徴:人体最長の二関節筋。モーメントアームが長く、関節角度によるトルク変化が大きい。
内転筋群の解剖学的補足
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長内転筋:恥骨体前面〜大腿骨粗線
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大内転筋:恥骨下枝・坐骨結節〜大腿骨粗線・内側顆
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パワーが強く、内側広筋下コンパートメントと密接に位置。
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大内転筋の厚み・強い収縮力により内側組織の滑走不全を起こしやすい。
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内側広筋上コンパートメントと下コンパートメントの境界部で癒着が発生しやすく、神経・血管圧迫や炎症を誘発。
Kagar脂肪体の解剖学的補足
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位置:アキレス腱前方、距骨・踵骨後方、腓腹筋腱・ヒラメ筋腱の間
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血管連絡:脛骨動脈と連続し足底動脈へ分布
実際の講義シーンの抜粋です(座学)
ミッション
実際の講義シーンの抜粋(実技デモ①)
ビジョン
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ASISから浅角度で走査すると外側に縫工筋、内側に腸腰筋、腸腰筋内側に大腿動脈(スカルパ三角)。
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縫工筋は厚さ3〜4mm、内側の筋膜連結部が狙い目。
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鼠径靱帯直上に腹斜筋・内腹斜筋、下に腸腰筋。腸腰筋と腹斜筋の合流部が有効ポイント。
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縫工筋外側の大腿筋膜張筋と腸脛靱帯間に大腿外側皮神経と伴走血管。
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ASIS直下の縫工筋と大腿直筋境界は神経密度が高い。
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大腿直筋下に中間広筋、内側に内側広筋。縫工筋下に大腿動脈と伏在神経栄養血管

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膝蓋下脂肪体は上部と下部に分かれ、厚さ約3mm以下。滑走性低下で膝奥の痛みや引っかかり。内側1mm付近を膝蓋靱帯よりやや内側から深めに真横刺入し、上下の動きを確認して狙う。
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アキレス腱下脂肪体は腓腹筋部とアキレス腱部で層が異なり、深さ約10mm。アキレス腱側で問題が多く、把持して反対側に抜けないよう管理。
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足底脂肪体は中央〜内側で厚さ3〜4mm、伸長率約12%。衝撃吸収を担い、内側の厚み部分を狙う。足底側からの刺入は刺激が強いが効果的。
実際の講義シーンの抜粋(実技デモ②)
ミッション
お手本動画
ビジョン
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膝蓋下脂肪体:上下で擦れ方が異なり、ミリ単位の治療が有効。靱帯直横からは角度がつきすぎるためやや内側から刺入。靱帯下で硬さを感じることがあり、上下どちらが動かないかを見極めて狙う。
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アキレス腱下脂肪体:深層に戻り込む層もある。外側で問題が起きることもあり、膝屈曲時に足関節が動きにくい場合は下方を疑う。
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足底脂肪体:足底筋膜は硬く、伸びは脂肪体の動きによる。内側3〜4mmの厚み部位が衝撃吸収の要で、触診で探す。足底側刺入は刺激が強い。
